導入前の課題旧来の電子機器では、共有化・蓄積・検索が難しかった。各メンバーが別々に、ExcelやGoogle Map等でポイントを管理していた。海上での事案が発生した際の対処など、安全面の懸念もあった。導入後の効果日々のコミュニケーションとノウハウの伝達を効率化組織でPDCAを回すのに必要なツールになった沖での事故対応における活用実績も持続可能な漁業に取り組む対馬の小さな漁業会社合同会社フラットアワーは、長崎県の対馬で漁業および加工直販、ブルーツーリズム等を行っている会社です。 水産学博士のメンバーを中心に設立された当社は、「持続可能な水産業の実現」をミッションに掲げています。 2隻の船を運用しながら一本釣り漁や延縄漁を行っており、主に福岡・東京などの大都市圏にある飲食店に、直販の形で魚を卸しています。 生産性の低さを指摘される漁業の現場において、若手メンバーが多くかつ小さいということをメリットに変え、次世代の漁業のあり方を実践する存在でありたいと考えております。今までにも、SNS、直販ECなどさまざまなITツールを導入してきましたが、LivMapも弊社においては欠かせない存在になっています。電子機器では共有・蓄積・検索が難しい。安全面の心配も。以前は、GPSプロッターを頼りに操業していました。 これはごく一般的な方法ではありますが、当然ながら船に固定されている電子機器なので持ち運びができません。 また、過去の軌跡は消えていきますし検索性も無く、船以外の場所で見返すこともできないため、データの蓄積や共有は難しい状況でした。また、帰港してからどのような漁をしたのか社内で共有するにあたっても、「◯◯の先のあたり」といった曖昧な形で伝達することが多く、正確に他メンバーの操業の状況を知ることはできませんでした。ポイントはメンバーそれぞれがExcelやGoogle Map上のピンなどで管理しており、共有化はできていませんでした。また、帰港を待っている際も、いきなり帰ったと連絡があって、慌てて荷受けのヘルプに行くようなことも多くありました。また、インターンの受け入れも行っていますが、メンバーの入れ替わりがあった時などにも、「辞めたら終わり」という状況になっていました。また、弊社の所属漁協でも、年に1度くらいは事故が起こります。弊社のメンバーも海上でエンジンが止まってしまったことがあり、業務中の安全性を向上する必要があると考えていました。詳細な等深線の上でメンバーの記録を共有し、チーム運営を効率化弊社では、LivMapを海に出る可能性のある全従業員のスマホに入れて利用しています。背景地図は、カスタマイズしたものを利用しています。詳細等深線・漁業権設定区域等の海域情報の上に、過去に溜めた漁獲ポイント・海底の起伏・沈船・漁礁などのデータを地図上の地点情報として登録して頂きました。この地図の上に、様々なデータを蓄積していっています。日々のコミュニケーションとノウハウの伝達を効率化、PDCAが高速に回るようになった操業中は、港を出てから帰港するまでの軌跡に加え、漁獲地点などを記録していっています。これらの情報を、漁業日誌のような形で利用しています。これにより、今までに、弊社メンバーがどのような漁獲努力をしたのかを簡単に振り返ることができるようになりました。 これは、 PDCA を回していくという意味でも、ノウハウの伝達という意味でも非常に役に立つと考えています。例えば、以前は「今日は水深◯m のあたりから流したよ」みたいな言葉で伝達していたのが、明確に軌跡で追えるようになりました。 また、軌跡はメンバー間で共有されているのが前提なので、「昨日のあたりから流そう」といった会話で済むようになりました。また、いなサバ漁は帰港が深夜になりますが、陸で待っている側としても、大体何時ころに帰ってくるか、やりとりせずとも分かるので、受け入れ側の体制を整えることができます。 メッセージングツールや電話ではこのようにはいきませんでした。沖の事故対応でも活用し、安全性の向上にも貢献また、有事の際、例えば沖でエンジンが止まって漂流してしまった場合などにも、助けに行きやすくなります。 曳航のために船を出す場合においても、お互いに位置を共有化しながら対処できますし、たとえ携帯通信圏外に行ってしまった場合でも、「◯分前まではここにいた」ということが分かることで探索範囲を狭めることができるため、安全性の向上という意味では非常に有用だと考えています。実際に夜間のサバ漁を行っている際にエンジンが止まってしまい、船が漂流する事態になってしまいました。エンジンが止まってしまうとバッテリーの充電ができないため、灯火などで救助船に位置を知らせることができなくなり、船を見つけるのが非常に困難になりますが、LivMapで軌跡を記録していたことで、迅速に漂流位置を把握することができました。決め手は、詳細な等深線の上で記録を共有化できる安価なツールが他に無かったこと導入の決め手になったのは、弊社とはんぽさき代表の小林さんと関係性があったということもあるのですが、それ以上に、詳細な等深線を見ることができ、その上で地点や軌跡をメンバー間で簡単かつリアルタイムに蓄積・共有化でき、かつ安価であるという3点を満たすアプリやシステムが他に無かった、という点が大きいです。特に、LivMapを利用し始めてからは、位置や状況を伝達するのにメッセージングツール等でいちいちやりとりをするのが面倒に感じてしまったことに加え、安心感も圧倒的に増したので、もう戻れなくなってしまいました。今後は、人材育成や水産物トレーサビリティへの応用なども視野にLivMapがあると、人材育成にも大きく役に立つと感じています。 先輩の試行錯誤は LivMapに記録されていますので、これと漁獲量の記録を見れば、多くのことを勝手に学ぶことができます。 弊社は「オープン&シェア」をモットーとしていますので、やる気のある人はどんどん成長していく環境を作れると思います。また、今後は魚を届けた飲食店の料理人の方々などに、「ここで漁獲した魚だ」といったことを伝えていくことができればと思っています。 さらには水産物トレーサビリティでの活用、浜掃除での活用などという形で、別のユースケースを探っていきたいと思います。また、メッセージング機能なども搭載されると、他のツールを行ったり来たりしながらやっていたことがLivMapに集約されるため、かなり使い勝手が良くなるのではないかと思っています。是非対応して頂きたいです。