基本データ使用している主な地図:航空写真、登記所備付地図ユーザー数:10利用開始:2025年2月主な使用用途:道路管理LivMap 導入後の効果週30〜50件の通報対応を、従来の半分の人数でこなせるように1〜2時間かかっていた通報対応や現場確認の作業時間が、最短30分に短縮ベテランの頭の中にあった現場情報を、チーム全員で共有できるように北海道西部に位置する倶知安町(くっちゃんちょう)は、ニセコ連峰を望む風光明媚な町でありながら、日本有数の特別豪雪地帯としても知られています。冬になると、住民からの除雪・道路損傷の通報が週に30〜50件にのぼることもあり、対応にかかる手間が増大します。町内の道路管理を担う倶知安町役場 建設課にとって、現場対応の効率化は長年の課題でした。豪雪地帯ならではの悩みを多く抱える現場で、LivMapはどのように活用されているのでしょうか。LivMap 導入前の課題:情報共有の煩雑さが招く、対応の遅延と属人化倶知安町役場 建設課は、住民から道路の損傷や除雪に関する通報を受けた際、職員が現地に行って目視確認を行い、作業を行う土木維持係に必要に応じて修繕を依頼する、という流れで対応を行っています。これまでは、状況確認後に LINEなどでやりとりしつつ事務所へ戻り、土木維持係に現場写真を見せて協議し、再度現場へ行く、というように、煩雑な手順を踏む必要がありました。通報から対応開始までに1時間近く要することもあったほか、現地では多くの写真を撮影するため、どこで撮ったかわからなくなるケースも発生していました。また、職員の居場所や作業状況をリアルタイムで把握する手段がなく、現地確認が必要な通報が入った際に、別の職員を新たに向かわせなければならないことも少なくありませんでした。パトロールのルートも共有していなかったため、職場に戻ってきた際にはじめて対応漏れが発覚する、というケースもあったといいます。さらに、業務経験によって培われたノウハウが個人に依存していることも課題のひとつでした。特に冬場、雪に埋もれてしまう路面施設の位置は、経験豊富な職員でなければ場所を特定することが難しいという問題もありました。導入後の変化:リアルタイムの情報共有で、現場対応が一気に加速これらの課題を解決するために導入されたのが、チームで使う共有地図「LivMap」です。LivMap 導入によって現場管理がどのように変化したのか、建設課の足利さんに聞きました。作業時間が約半分に!雪に埋もれた施設の位置把握にも活用—— まず、LivMap 導入後、どんな変化があったかお聞かせください。以前は1〜2時間かかっていた通報対応や修繕対応管理などの作業時間が、平均30分ほどに短縮され、対応にかかる人員の数も半分で済むようになりました。特に大きく変わったのが、現場での報告の流れです。LivMap の位置共有機能をオンにしてパトロールに出れば、現場と本部で現在位置や通報状況がリアルタイムに共有できます。これにより、住民から通報が入った際、通報現場に近い職員に指示を出せるようになり、「ついでに」現場確認をすることが可能になりました。新たな職員が追加で現場へ出る必要がなくなったため、時間も人数も削減できました。情報共有の流れにも、良い変化がありました。住民から事故や道路損傷などの通報が事務所に入ったら、電話を受けた人が PC 版の LivMap 上で当該地点を登録します。これは現場にいる職員のスマホアプリにもリアルタイムで同期されるため、どこへ向かえばいいか一目でわかります。また、現場確認を行った人が LivMap にアップロードした写真は即共有されるため、業者委託を検討するか、建設課職員による直営での対応にするかを事務所にいる人が同時進行で判断できるようになりました。職員が事務所に戻ってくるのを待つ必要がなくなり、対応に要するリードタイムが大幅に短縮されました。—— 豪雪地帯である、倶知安町ならではの使い方もされていると聞きました。はい、その代表例が、積雪時における「排水桝(はいすいます)」の見える化です。春先に、路面に溜まった水を排水するための設備である排水桝が凍結していると、雪解け水で道路が水浸しになってしまいます。そのため氷割りを行う必要があるのですが、積雪で排水桝が埋もれているため、正確な位置を把握しているのは経験豊富な職員だけ、という状態でした。そんなとき、「そういえば夏場に排水桝の写真を撮っていたな」と思い出して、試しに アップロードしてみました。LivMap は写真を撮影した地点に自動的に写真を取り込むことができるので、排水枡の位置を示したポイントマップを簡単に作成することができました。その結果、積雪時でも枡の位置がわかるようになり、作業効率も格段に上がりました。今後担当者が変わっても、情報が容易に引き継げるようにもなったと思います。—— 交通事故対応にも大きな変化があったそうですね。倶知安町はリゾート地ということもあり、凍結路面に不慣れな短期滞在の外国人ドライバーや、観光客のレンタカーによる交通事故が多発します。多い日には1日10件ほどの事故がありますが、手に負えず、以前は警察からの連絡を受けてから現場へ向かう受け身の対応でした。ですが今では、現場に出る際に LivMap で位置を共有することをルールとしているので、通報が入ったらいちばん近くにいる職員が誰か、すぐに把握することができます。さらには、事故対応にかかった時間や作業メモの記録、応援が必要かどうかのやりとりもアプリ上で完結できるようになりました。シンプルな操作性で、現場の評判も上々—— みなさん積極的に使われているようですが、導入当初、チームへの浸透はスムーズでしたか?新しいツールに対して消極的な反応を予想していましたが、みんな意外とすんなり受け入れてくれました。冬場での有用性が高そうなので全員で活用しようと周知したこと、管理職が率先して使い方を学ぼうと前向きだったこと、そして操作性のシンプルさが、チーム全体への広がりを後押ししたと思っています。—— 導入を推進された立場として、足利さんご自身の感触はいかがでしょうか?大きな手応えを感じています。先日の人事面談では、上長から「LivMap を導入してくれたおかげで職員の動向が把握できるようになって、とても楽になった。やって良かった事業だね」という言葉ももらい、担当者として大きな励みになりました。直感的に使えて低コスト。小規模自治体にこそ試してほしい—— 今後、LivMapをどのように活用していきたいですか?冬場は滑り止め用の砂や塩化カルシウムを路面に撒くのですが、どこで何を使ったかを LivMap 上で記録できるようにしたいと考えています。使用箇所が位置情報とともに蓄積されれば、在庫の残量管理や補充のタイミング判断もスムーズになるはずです。また、倶知安町は、エアロセンス社が取り組む国土交通省 SBIR の実証事業にフィールドを提供するなど、ドローンを活用した道路点検への取り組みも進めているところです。ドローンで撮影した多数の画像をオルソ化(真上から見下ろしたように補正)し、 LivMap の背景地図として取り込むことで、道路損傷の把握を効率化する実証実験を行ったりもしています。—— 最後に、同じような課題を抱える自治体の方へ、メッセージをお願いします。LivMap は、デジタルツールに不慣れでもすぐに使いこなせるくらい、直感的に操作できます。新しいツールの導入に不安を感じる職員がいても、実際に使い始めると自然と広がっていくと思います。また、10名でも月々1万円程度で使えるため、導入コストを抑えつつ効率化できるという点が大きな優位性になるはずです。規模が小さい自治体ほど、ベテラン職員のノウハウが属人化してしまったり、限られた人数で膨大な通報に対応しなければならなかったりすると思います。ですが、抱えている業務が多い状況でこそ、LivMap が活きてくると感じています。ぜひ一度、試してみてください!